大学受験英語の勉強法
University Entrance Examination Study Tips
目次
近年、大学受験に合格するために求められる英語力は上昇しています。センター試験が共通テストに切り替わったことで、受験生が必要とする語彙数も増えました。私立大学や国公立大学の二次試験においてもスピーキングの導入による試験内容の多様化が行われています。合格のためには少しでも多くの英単語を理解して使えるようになることが求められます。
大学合格に必要な英単語数は試験の種類によって異なります。ここでは基準となる英単語数を紹介します。
国公立大学の一次試験となる共通テストでは4000〜5000語が必要とされています。高校の授業までで履修する単語数が約3000語とされていますので、大学受験をする場合は授業以外に単語を1000語以上独学しなければなりません。
難関私立大学に合格するための必要英単語数は5000〜6000語とされており、難関国公立では6000〜7000語が必要となります。いずれにしても受験生は英単語帳を使用して、授業のほかに英単語を自分で覚えていく必要があります。
大学受験に必要な英単語のレベルは受験の種類や志望校、さらには受験の形式によって大きく変わってきます。そのためまずは自分の目指す大学のレベルと試験形式を把握する必要があります。ここでは大きく3つの種類に分けて必要な英単語レベルをご紹介します。
標準的な英語の授業で学習する語彙数は高校生で約3000語です。共通テストで点数を取るためには追加で1000語ほど必要となります。英単語帳を一冊勉強するといいでしょう。私立難関校で求められる語彙数は授業に加えて2000語ほどですが、こちらも英単語帳を一冊完成させると身に付く語彙数です。
難関国公立合格のためには英単語帳を二冊ほど完成させる必要があります。標準レベルのものを一冊と、国公立対策用のものを一冊です。特に国公立大学の場合は英作文対策として使える単語を増やす必要もあります。
大学受験に必要な英単語は受験生一人一人違ってきます。自分に合う一冊が見つからずに悩んでしまうこともあるでしょう。なんとなくで単語帳を選んでしまうと語彙数が足りなかったり、難しすぎて覚えられないということもあります。
効率よく学習するために英単語帳はレベルや学習スタイルに合わせて適切に選んだ方が懸命です。ここでは英単語帳を選ぶポイントを紹介します。
一つ目は英単語帳のレベルが自分に合っているかどうかです。英単語帳はレベルが高いものを選べばいいというわけではありません。自身のレベルとかけ離れた単語帳から始めると、最初のページから苦労することになります。
英単語学習は継続が大事なので日々のモチベーションの維持が鍵となります。レベルに合わない単語帳は負担が大きく継続が困難です。受験生の皆さんのほとんどは共通テストレベルの単語は暗記する必要があります。まずは基礎レベルの単語帳からはじめ、徐々にレベルを上げていくといいでしょう。
二つ目は解説のわかりやすさです。英単語の解説も単語帳によって大きく異なります。熟語が紹介されているものもあれば、語源や豆知識など英単語学習において理解を深める解説がされているものもあります。
中にはイラストを用いて単語のイメージを解説したり、類義語との違いを説明している単語帳もあります。最初の一冊は実際に手に取り読んでみて、単語の解説がわかりやすいものを選びましょう。
三つ目は単語帳が自分の学習スタイルに合うかどうかです。英単語の学習の仕方は人それぞれです。何回も書いて一語一訳で覚える人がいれば、熟語として句や節ごと覚える人、さらには例文を参考に実際の使い方まで同時に勉強する人もいます。
音声を重視する人はアプリなどで音声をダウンロードできる英単語帳を選ぶ必要があります。どのような学習スタイルが自分に合っているかを考え、それに合う単語帳を選びましょう。
受験で英語を武器にするには効率の良い英単語学習が必要です。英単語帳の正しい使い方と効率的な単語の覚え方を知っておくだけで日々の学習成果は大きく異なります。ここでは英単語帳の使い方とおすすめの単語の覚え方をご紹介します。
まずは英単語帳を用いた学習の目的を明確にしましょう。基礎を固めるための英単語学習なのか、共通テスト受験から難関国公立大学合格のための応用的学習なのかによって目的が大きく変わってきます。さらにはスピーキングやライティング対策などでも学習方法は変わってきます。
覚えた単語や熟語は実際に使ってみるように意識しましょう。インプットしただけでは記憶から消える可能性が高く、時間が経つと忘れてしまう恐れがあります。覚えた単語を使って例文を作ってみるなどアウトプットに繋げましょう。
覚える時に音声を聞きながら発音を練習することも効率的な記憶に繋がります。共通テストにおいてはリスニングの配点も重視されるため、聞き取れるように耳を慣らしておく必要があるでしょう。
難関私立や難関国公立は英作文の試験を実施するところも少なくありません。目で見て発音を練習して、実際に使ってみることで着実に語彙力が身に付く効果が期待できます。
英単語帳は一周して終わりではなく、何周も重ねることで復習と暗記抜けを防ぐ効果があります。学習の仕方も様々で、例えば一周目は一語一訳で勉強し二周目で熟語を覚える方法もあります。大切なのは一周で終わらせないことです。
すみずみまで何周も勉強するのは負担が大きいため、一周目で覚えられなかった単語にチェックをつけて二周目で集中的に覚えるのがおすすめです。三周目以降はそれでも覚えられなかった単語を書き出したり、覚えた単語の多義などに注目すると一層効果的です。
二周目以降は苦手な単語のみを集中して覚えることになるため、一周目よりもかかる時間は短くなるでしょう。何度も周回することで覚えた単語を確実に身につけて合格のための揺るがない語彙力を確立しましょう。
どうしても覚えられない単語やイメージし辛い単語などを書き出して、オリジナルの単語帳を作りましょう。
語源など単語の情報を書き加えたり、類義語とセットで覚えたりと工夫することで弱点対策の単語帳が完成します。
オリジナルの単語帳はスキマ時間を活用して弱点克服に臨んだり、試験前に確認する際に効率よく復習することができます。ノートやメモ帳などを使って作成してみてください。
続いて大学受験におすすめの英単語帳を10冊紹介します。それぞれの単語帳のポイントや、適切な学習者のレベルについても触れています。単語帳選びの参考にしてみてください。
英単語ターゲット1900は大学入試用の英単語帳として定番の一冊です。共通テストから難関国公立大学や私立大学まで、全ての試験の基礎となる単語帳です。独自のデータベースをもとに入試でよく出る英単語が順番に載せられています。
単語と例文の音声を無料で利用できたり、アプリで学習状況を管理できたりとサービスも充実しています。受験生の最初の一冊としておすすめです。
速読英単語(必修編)は基礎固めの一冊としておすすめの英単語帳です。こちらは英文読解を通じて英単語を学習する構成となっています。そのため単語がどのような使われ方をされるのか、どのような単語と相性がいいのかを体感することができます。
英文のレベルも易しいものから徐々に入試レベルまで上がっていくため、英語が苦手な方でも無理せずレベルを上げていくことができます。音声とディクテーションを無料で利用できるため、アウトプットにも最適です。
システム英単語は単語をフレーズとして覚えることに力を入れた英単語帳です。データベースをもとに実際に使われる単語の組み合わせや、ペアになりやすい前置詞とセットで覚えることができます。
単語の解説や語源も豊富に載っています。単語の意味だけでなくその背景知識も学習することができます。大学受験の基礎固めはもちろんのこと、模試や私立大学の文法問題対策としておすすめの一冊です。
データベース4500も受験対策最初の一冊としておすすめできます。教科書に出てくるレベルからセンター試験、さらには私立大学や国公立大学対策の基盤になる単語が記載されています。
英単語がテーマ別に掲載されているため、芋づる式に関連語を勉強していくことができます。熟語や多義語もしっかりと対策されているため、単語の知識をとにかく身につけたい方に向いています。
stock4500は幅広い入試に対応した英単語帳です。語彙数が多いだけでなく、近年の入試で問われやすいテーマに頻出の単語がまとめられています。さらに問題形式ごとに出題されやすい単語が掲載されています。そのため共通テスト対策だけでなく、出題形式の多い私立大学対策にもなります。
記憶に残すための「記憶ブースター」なる語の解説や、イラスト掲載もあるため丸暗記ではなくイメージしながらの学習が可能です。音声はアプリで利用できるため、スキマ時間で復習することもできます。
DUO 3.0は特徴的な単語帳で、例文から単語を覚える作りになっています。多くの単語帳では一語に対して一つの例文が用意されていますが、DUO 3.0では一つの例文の中で使われている単語を複数勉強します。
掲載されている例文は560本です。その中から学習できる単語は1600語、熟語は1000語あります。単語帳としてのレベルは高めなので基礎には向きませんが、例文ごと暗記したい方に特におすすめの単語帳です。例文を暗記することで英作文力も身につく効果が期待できます。
ユメタン2はリズムよく単語を学習し、反復することで単語力を強化することを目的とした単語帳です。一週間毎日100語を繰り返すことで徹底的な反復と記憶の定着を図ります。さらに7日間毎日違う方法で同じ100語を学習するため、該当100語の知識が基礎から応用まで身につきます。
こちらは音声を用いて学習することが前提なので、CDでもアプリでも音を聴くことができます。上のレベルの単語帳も用意されているので、ユメタン2が完成した人はユメタン3へと進むのもいいでしょう。共通テスト対策の始めの一冊としておすすめできます。
必携英単語LEAPは共通テスト対策から国公立合格まで幅広いレベルに対応している単語帳です。英単語を使用される頻度やCEFRに応じたデータに応じて分類しているため、実際に試験に出る単語を効率的に学習することができます。
使いこなせるようにするべき単語と意味がわかればいい単語で分けられているため、スピーキングや英作文対策も可能です。単語の解説も豊富なため、丸暗記ではなく理解して語彙力を強化することができます。
単語王2202はセンター試験対策から二次試験対策までの英単語を網羅した単語帳です。現在は絶版のため新品での入手は難しくありますが、歴史ある英単語帳としていまだに人気があります。
単語帳だけでなく暗記のためのフラッシュカードも合わせて発売されており、学習スタイルに合わせた勉強が可能です。
鉄壁は難関国公立合格のための単語帳で、高いレベルの英単語学習に最適の一冊です。テーマ別に構成されていますが見出し語だけで3000語以上あるため、単語学習の完成用として活用するといいでしょう。
例文や熟語、派生後に語源と単語の情報が豊富で解説が読み応えがあります。暗記のためのイラストも豊富に用意されているため、覚えにくい単語はイメージしながら覚えることができます。辞書的な使い方も可能な単語帳です。
英単語の覚え方を徹底解説!短期間で効率的に記憶するおすすめの方法は?
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英単語を勉強する際には気をつけるべき点がいくつかあります。ここではその注意点をお伝えします。失敗を未然に防ぐためにも、これらの内容を参考にしてみてください。
英単語の勉強を始めたばかりの人は、一語一語に時間をかけてしまいがちです。丁寧に勉強するのは大事ですが、英単語の場合は時間をかけすぎないことが大事です。一語あたり10秒かけない程度で先に進んでいきましょう。
英単語帳の勉強は周回することが前提です。わからない単語が合って当たり前なのです。音声を活用しながら、リズムよくどんどん進めてまずは単語に目を通すようにしましょう。
英単語帳は先に進むだけでなく、必ず復習時間もセットで勉強してください。一度や二度学習しただけでは記憶として定着せず、試験の時に思い出せない可能性があります。定着させるためにはとにかく復習が肝心です。
朝起きて前日までの単語の復習の時間を設けたり、寝る前の時間を使ったり生活スタイルに合わせて反復の時間を設けるようにしましょう。
英単語は多義的な意味を持っているものがほとんどです。中には動詞としての意味と名詞としての意味を持っていたりと品詞が変わるものもあります。しかし一度の学習で全ての意味を覚えようとはしない方がいいでしょう。
最初から全ての意味や使い方を覚えようとすると単語学習の時間が長くなる上に、覚えないといけないというプレッシャーから心理的にも負荷がかかります。まずは一つの意味だけ覚え、反復する中で他の意味も覚えるようにしましょう。
英単語学習は地味な学習ではありますが共通テスト対策をはじめ、難関大学合格のためには避けて通れない勉強です。英単語は英語力の基盤を固めるものであり、日々の継続が大切です。効率の良い学習方法と復習を重ねて揺るぎない英語力を身につけましょう。
井上隆太朗
大学院で言語学修士を修了後、5年間高校で英語教師をしていました。現在は大学受験から資格試験、学び直しまで幅広く指導しています。「英語を学ぶ楽しさ」に気づいてもらえるような記事作成を心がけています。