IELTS勉強法
IELTS Study Tips
目次
まずは、IELTSとTOEICの試験の違いを比較してみましょう。
どちらも英語力を測る試験ですが、前提として受験の目的が異なります。
IELTSは留学や就労、移住を目指す人々が4技能全ての能力を測る試験で、TOEICは日常会話やビジネス会話など、英語のコミュニケーション力を測る試験です。
そのため、試験時間や形式、問題の内容まで異なります。
『IELTS』とは、英語圏の国に留学や就労、移住を希望する人々が受験する英語の試験です。
書く、読む、聞く、話すの4技能を測ることができ、試験タイプは「IELTS Academic」と「IELTS General Training」の2種類に分かれています。
IELTS Academic | IELTS General Training | |
---|---|---|
受験者 | 英語圏の大学や大学院に入学を希望する人 | 英語圏での就職や移住を希望する人 |
特徴 | 学術的な会話や場面を想定した課題や設問が多く出題 | 日常生活や職場でのやり取りを想定した課題や設問が多く出題 |
試験内容 | ライティング・リスニング・リーディング・スピーキング | |
時間 | 約2時間45分(ペーパー試験の場合は約2時間55分) |
IELTSとはどんなテスト?試験の概要や効果的な学習方法など紹介!
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『TOEIC』はオフィスや日常生活における英語のコミュニケーション能力を測る試験で、2つのブランドに分かれています。
TOEIC® Tests:日常生活やグローバルビジネスにおける英語力を測定
TOEIC Bridge® Tests:日常生活における英語力を測定(英語学習初心者から中級者までを対象)
さらに、聞く・読む力を測る 「Listening & Reading Tests」と、書く・話す力を測る「Speaking & Writing Tests」に分かれているため、一度に測定できるのは2技能です。
IELTSと大きく異なる点は、一度に4技能全てのスキルを測定できない点でしょう。
TOEIC® Listening & Reading Tests |
TOEIC® Speaking & Writing Tests |
TOEIC Bridge® Listening & Reading Tests |
TOEIC Bridge® Speaking & Writing Tests |
|
---|---|---|---|---|
受験者 | 初級者から上級者 | 初級者から上級者 | 初級者から中級者 | 初級者から中級者 |
特徴 | 身近なシーンからビジネスまで幅広い場面に対応 | 国際的なビジネスコミュニケーション場面に対応 | 日常生活が中心 | 日常生活が中心 |
内容 | リスニング・リーディング | スピーキング・ライティング | リスニング・リーディング | スピーキング・ライティング |
時間 |
リスニング:約45分 リーディング:約75分 |
スピーキング:約20分 ライティング:約60分 |
リスニング:約25分 リーディング:約35分 |
スピーキング:約15分 ライティング:約37分 |
TOEFLスコアの目安やレベルを徹底解説!平均点や上げるための勉強法は?
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次に、IELTSのスコア換算を見てみましょう。
TOEICやTOEFL、英検など、他の英語の試験のスコアに換算するとどのようになるのでしょうか?
あくまでも目安になりますが、参考にしてみてください。
『IELTS』は、未受験の「0」から最高点の「9」まで、0.5ずつ段階的に評価されます。
一方『TOEIC L&R Tests』は、10~990点まで5点刻みのスコアです。
IELTS | TOEIC L&R Tests |
---|---|
9.0 | – |
8.5 | – |
8.0 | – |
7.5 | 970~990 |
7.0 | 870~970 |
6.5 | 820~870 |
6.0 | 740~820 |
5.5 | 600~740 |
5.0 | 550~600 |
4.5 | 500~550 |
4.0 | 450~490 |
… |
… |
TOEICの満点である990点がIELTSの7.5に相当することから、IELTS8.0から上のスコアはかなりレベルが高いと言えますね。
また、IELTSのスコアをTOEFLのスコアに換算するとどのようになるのでしょうか。
『TOEFL iBT』のスコアと比較してみましょう。
IELTS | TOEFL |
---|---|
9.0 | 120 |
8.5 | 119 |
8.0 | 117~118 |
7.5 | 109~116 |
7.0 | 100~108 |
6.5 | 90~99 |
6.0 | 80~89 |
5.5 | 69~79 |
5.0 | 61~68 |
4.5 | 52~60 |
4.0 | 45~51 |
TOEICとは対称に、TOEFLはIELTSの上位スコアともおおよそ置き換えられます。
最後は、英検に換算した表をご覧ください。
IELTS | 英検 |
---|---|
9.0 | – |
8.5 | – |
8.0 | – |
7.5 | – |
7.0 | 1級 |
6.5 | – |
6.0 | 準1級 |
5.5 | – |
5.0 | 2級 |
4.5 | – |
4.0 | 準2級 |
英検もTOEICと同様、IELTSの上位スコアと置き換えられる級がありません。
また試験形式や試験の目的が大きく異なるため、多少のズレが生じてしまいます。
IELTS6.0以上あると海外留学も視野に入りますが、いったい「どのレベルでどのようなことができる」のでしょうか?
ここからは、IELTSとTOEICの取得スコア別に、英語力の目安を見ていきましょう。
IELTSは、4技能ごとに0~9まで段階評価が示されます。
しかし一般的にIELTSのスコアと言うと、総合評価(オーバーオール)を指します。
参照:バンドスコア・採点方法
スコア | 評価 |
---|---|
9 |
英語を自由自在に使いこなす能力を有する。 適切、正確、流暢、完全な理解力もある。 |
8 |
不正確さや不適切さがみられるが、英語を自由自在に使いこなす能力を有している。 慣れない状況下では誤解が生ずる可能性もある。込み入った議論にも対応できる。 |
7 |
不正確さや不適切さがみられ、また状況によっては誤解が生ずる可能性もあるが、英語を使いこなす能力を有する。 複雑な言葉遣いにも概ね対応でき、詳細な論理を理解できる。 |
6 |
不正確さ、不適切さ、誤解もみられるが、概ね効果的に英語を使いこなす能力を有する。 特に、慣れた状況下では、かなり複雑な言葉遣いの使用と理解ができる。 |
5 |
不完全だが英語を使う能力を有しており、ほとんどの状況でおおまかな意味を把握することできる。ただし、間違いを犯すことも多い。 自身の専門分野では、基本的なコミュニケーションを取ることが可能。 |
4 |
慣れた状況においてのみ、基本的能力を発揮できる。 理解力、表現力の問題が頻繁にみられる。複雑な言葉遣いはできない。 |
3 |
非常に慣れた状況において、一般的な意味のみを伝え、理解することができる。 コミュニケーションの断絶が頻発する。 |
2 |
慣れた状況下で、その場の必要性に対処するため、極めて基本的な情報を片言で伝える以外、現実的なコミュニケーションをとることは不可能。 英語の会話や文章を理解することは困難である。 |
1 | 単語の羅列のみで、基本的に英語を使用する能力を有していない。 |
0 | 未受験 |
続いて、TOEICの取得スコアに応じた英語レベルを見てみましょう。
参照:PROFICIENCY SCALE
スコア | 評価 |
---|---|
860 |
Non-Nativeとして十分なコミュニケーションができる。 自己の経験の範囲内では、専門外の分野の話題に対しても十分な理解とふさわしい表現ができる。 |
730 |
どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。 通常会話は完全に理解でき、応答もはやい。 |
470 |
日常生活のニーズを充足し、限定された範囲内では業務上のコミュニケーションができる。 複雑な場面における的確な対応や意思疎通になると、巧拙の差が見られる。 |
220 |
通常会話で最低限のコミュニケーションができる。 ゆっくり話してもらうか、繰り返しや言い換えをしてもらえば、簡単な会話はできる。 |
コミュニケーションができるまでに至っていない。 単純な会話をゆっくり話してもらっても、部分的にしか理解できない。 |
受験目的が異なるIELTSとTOPIKですが、続いてはそれぞれの試験を受検するメリットとデメリットをお伝えします。
どちらの試験を受験しようか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
まずは、IELTSを受験するメリット・デメリットです。
IELTSを受験するメリット | IELTSを受験するデメリット |
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では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1つ目のメリットは、「海外留学や就労、移住に有利」な点です。
試験自体が海外留学・就労・移住を目的とした試験であるため、海外の大学へ留学・就労したいときに、自身の英語力を証明する試験として役立ちます。
2つ目のメリットは、「4技能全てを測定できる」ことです。
TOEICは2技能ずつしか測れませんが、IELTSは1度で書く、読む、聞く、話すの4技能を測れるのがメリットでしょう。
最後は、「高いレベルまで測定可能」な点がメリットです。
先ほどスコア換算の話のときに他の試験と比較しましたが、IELTSは他の試験では測定できない高いレベルの英語力まで測れます。
高いレベルを目指している方にとっては、IELTSは最適な試験と言えますね。
IELTSを受験するデメリットは2つあります。
1つ目は、「受験料が高い」ことです。
運営団体や試験形式によって受験料が異なりますが、25,380円~27,500円で試験の受験料としては高めに設定されています。
2つ目のデメリットは、「試験時間が長い」ことです。
リスニング、リーディング、ライティングテストが約2時間45分で、間に休憩時間はありません。
スピーキングは同日に行われるケースと別日に実施されるケースがありますが、同日の場合はさらに試験時間が長くなります。
続いて、TOEICを受験するメリット・デメリットをお伝えします。
TOEICを受験するメリット | TOEICを受験するデメリット |
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TOEICを受験するメリット1つ目は、「ビジネス英語を勉強できる」点です。
TOEICは日常生活やグローバルビジネスにおける活きた英語の力を測定する試験であるため、ビジネス領域で使用されている英単語や表現を学習できるのが特徴です。
また、「スコアが高いとキャリアアップに繋がる」点もTOEICを受験するメリットと言えます。
就職や転職、昇進、昇格時にTOEICのスコアが評価されるケースが多く、大学生だけでなく多くの社会人がTOEICを受験しています。
一方で、デメリットも2点あります。
1つ目は、「スピーキング力の証明にならない」点です。
TOEIC受験者の大半が受験する『TOEIC® L&R Tests』には、スピーキングテストがありません。
そのため、TOEICで高いスコアを保持したとしても、スピーキング力の証明にはならないことがデメリットです。
2つ目のデメリットは、「英語圏ではTOEICのスコアは重視されない」ことです。
世界中で人気の試験ですが、海外への留学や就職を目的とした試験としては最適ではありません。
留学や就職、移民の場合はIELTSやTOEFLのほうが適しているでしょう。
ここまでで、IELTSとTOEICの違いや各試験のスコア換算について解説しました。
しかし、「違いはわかったけれど、結局どっちを受験すれば良いの?」と悩んでいる方も多いはず。
そこで最後は、IELTSとTOEICどちらの試験を受験するべきかをお話しします。
結論としては、「受験する目的に応じて選ぶと良い」です。
詳しく説明するので、見ていきましょう。
IELTSの受験は、海外への留学、就労、移住を考えている方におすすめです。
ここまでにも何度もお伝えしましたが、IELTSとTOEICは試験の目的が違います。
IELTSは海外への留学、就労、移住を希望している方向けに作られた試験なので、国内よりも海外で活動するときに重宝されます。
これから海外の大学へ留学や就労をしたいと考えている方は、IELTSを受験すると良いでしょう。
一方で、TOEICは国内でのキャリアアップを目指す方におすすめです。
就職や転職するときだけでなく、昇進、昇格の基準としてTOEICのスコアを判断材料としている企業が多いです。
そのため、これから日本で就職する予定の方や、転職、キャリアアップを目指す方は、TOEICの学習をしていきましょう。
今回は、有名な英語の試験であるIELTSとTOEICの違いに着目して解説しました。
・IELTS:英語圏の国に留学や就労、移住を希望する人々が受験する英語の試験
・TOEIC:オフィスや日常生活における英語のコミュニケーション能力を測る試験
この2つの試験は、試験の目的や内容が異なりましたね。
英語学習の目的を明確にし、その目的に応じて受験する試験を選びましょう!
まる
大学生の頃にカナダへ留学し、その後小学校で英語教員として勤務していました。自身のこれまでの学習経験と教員経験を活かし、現在は英語学習に関する記事を執筆しています。英語学習者の悩みを解決できるよう、丁寧で分かりやすい記事の執筆を心掛けています。